
外国人材が日本の労働市場を支える存在となった今、企業が負うコンプライアンス責任は年々重くなっています。 特に 2026年6月14日施行の改正入管法(不法就労助長罪の厳罰化) と 外国人雇用管理指針の見直し により、企業の確認不足はもはや「言い訳できないリスク」となりました。
本コラムでは、実務で見落とされがちなポイントと、企業が構築すべき在留管理体制を行政書士の視点で解説します。
1. 2026年6月、罰則は「5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金」へ大幅強化
2024年公布の改正入管法が2026年6月14日に施行され、不法就労助長罪の罰則は次のとおり強化されました。
改正前
- 3年以下の懲役
- 300万円以下の罰金
- またはその併科
改正後
- 5年以下の拘禁刑
- 500万円以下の罰金
- またはその併科
※「拘禁刑」は刑法改正に伴う新しい刑罰名称です。
さらに、従業員が違反した場合でも 法人に対して罰金が科される両罰規定 が適用されます。 摘発されれば、社会的信用の失墜、取引停止、採用停止など、企業経営に深刻な影響を及ぼします。
2. 最も恐ろしいのは「知らなかった」が通用しないこと
不法就労助長罪は 故意だけでなく過失でも処罰対象 となります。
「知らずに働かせていた」「確認を怠った」 これらはすべて企業側の落ち度として扱われます。
2026年の「外国人雇用管理指針」の改訂では、 不法就労防止は事業主の責務 と明確化されました。
現場で起きている“うっかり不法就労”の典型例
① 留学生のオーバーワーク(週28時間制限違反)
- 他社との掛け持ちで合計28時間を超えていた
- 長期休暇終了後も週40時間働かせてしまった
② 在留期限のうっかり失効
- 更新忘れにより不法滞在状態のまま勤務させてしまうケース
③ 偽造在留カードへの誤信
- 最新の偽造カードは目視では判別困難
- 券面確認のみでは不十分
3. 第2世代在留カードの導入で変わる「確認実務」
2026年6月14日から、新しい 第2世代在留カード の交付が始まりました。 しかし、ここで企業が誤解しやすい重要ポイントがあります。
■ 6月14日以降も、旧カードはそのまま有効
外国人全員が自動的に新カードへ切り替わるわけではありません。 既存の在留カードは、券面に記載された 在留期間満了日まで有効 であり、強制交換はありません。
■ 新カードへの切り替えは「更新時・再交付時」に順次行われる
第2世代カードが交付されるタイミングは次のとおりです。
- 在留期間更新時
- 在留資格変更時
- 永住者の在留カード更新(7年ごと)
- 紛失・破損などによる再交付時
そのため、企業の現場では今後数年間、 旧カードと新カードが混在する期間が続く ことになります。
■ 新カードでは券面情報が減り、ICチップ確認が必須に
【券面から削除された情報】
- 在留期間
- 許可の種類
- 許可年月日
- 交付年月日
【券面に残る情報】
- 在留期間満了日(有効期限)
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
つまり、従来の「目視確認」だけでは不十分となり、 ICチップの電子的な読み取りが必須 になります。
出入国在留管理庁が提供する以下のツールを活用し、 採用時・在職中の確認手順を社内マニュアル化する必要があります。
- 在留カード等読取アプリケーション(無料)
- オンライン失効情報照会システム
■ 特定在留カード(マイナンバー一体型)は希望者のみ
2026年から、在留カードとマイナンバーカードを一体化した 「特定在留カード」 の交付も始まりましたが、これは 任意申請 です。
■ 子どもの在留カードも顔写真必須に
1歳以上16歳未満の子どもにも顔写真が必要となり、本人確認精度が向上しています。
4. 外国人雇用管理指針の最新ポイント
2026年改訂版では、企業が取り組むべき事項が明確化されています。
- 在留カードの真正性・有効性確認
- 在留期限管理の徹底
- 不法就労防止は事業主の責務
- 日本語学習機会の提供(努力義務)
- 外国人が安心して働ける職場環境の整備
コンプライアンスは「採用時だけ」ではなく、 在職中の継続的な管理体制 が求められています。
まとめ:リスクヘッジと正しい雇用は、プロへの相談から
- 「この在留資格で自社の業務を任せてよいのか」
- 「留学生から特定技能へ切り替えるスケジュールがわからない」
- 「自社の在留管理体制に抜け漏れがないか確認したい」
法制度の複雑化とデジタル化(第2世代カード導入)により、 企業が単独で完璧な管理体制を構築することは難しくなっています。
外国人雇用に不安がある企業様は、ぜひ当事務所へご相談ください。

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