
はじめに
外国人雇用の現場がいま、大きな転換期を迎えています。長年続いてきた「外国人技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが決定しました。
2026年5月現在、国会での法案成立を経て、2027年までの本格施行に向けた細かな運用ルールの整備が進められています。今回は、この新制度がこれまでの技能実習と何が違うのか、企業はどのような準備が必要なのかを解説します。
新制度の目的:これまでの「国際貢献(技術移転)」から、明確に「人材確保と育成」へと舵を切ったことにあります。
新制度の最大の特徴:「育成就労」が「特定技能1号」への確実なステップアップ(接続)を前提としている点にあります。
これまでの技能実習は、あくまで「母国へ技術を伝えるための実習」という建前があったため、実習が終われば帰国するのが原則でした。しかし、新制度では以下のような明確な一本道が作られています。
- ステップ1:育成就労(原則3年間) 未経験(未熟練)の状態からスタートし、現場で働きながら3年間で「現場の即戦力」としての技能を身につける【育成・準備期間】です。
- ステップ2:特定技能1号(通算5年間) 育成就労を修了し、一定の技能試験や日本語試験に合格することで移行できる、【即戦力としての就労期間】です。
なぜ「3年間の就労」が必要なのか?
特定技能1号として働くためには、通常、高度な技能試験に合格する必要があります。新制度では、「3年間の育成就労を良好に修了すれば、その試験を免除(または一部簡略化)して特定技能へスムーズに移行できる」仕組みが検討されています。
つまり、企業にとっては「3年かけて自社のやり方に馴染んだエース級の外国人材を、そのまま特定技能として通算8年以上(さらに特定技能2号になれば無期限に)雇用し続けられる」という、非常に合理的で長期的な雇用プランが描けるようになったのです。
1. 技能実習から「育成就労」へ:3つの大きな変更点
- 「特定技能1号」へのスムーズな移行 育成就労は、3年間の就労を通じて「特定技能1号」の水準まで人材を育てることを前提としています。これにより、慣れ親しんだ従業員に長く働いてもらえる環境が整います。
- 「転籍(転職)」の制限緩和 これまでの技能実習では原則認められなかった「本人希望の転籍」が、一定の条件(1〜2年の就労や日本語能力など)を満たせば認められるようになります。企業には「選ばれる職場づくり」がより求められるようになります。
- 日本語能力要件の明確化 入国時に「A1相当(日本語能力試験N5程度)」、特定技能への移行時に「A2相当(N4程度)」といった段階的な日本語能力が求められる方針です。
2. 現在の検討状況とスケジュール(2026年5月時点)
現在は、制度の詳細な「省令(ルール)」を詰めている段階です。
- 2024年6月: 改正入管法等が成立
- 2026年現在: 受け入れ職種の細分化や、転籍の具体的な条件についての議論が進行中
- 2027年まで: 新制度「育成就労」の本格施行
※現在技能実習生を受け入れている企業様へ: 新制度が施行されても、既に入国している技能実習生は一定期間、そのまま実習を継続できる経過措置が設けられる予定です。慌てて帰国させる必要はありませんのでご安心ください。
3. 【専門家の視点】企業が今から準備すべき「2つのポイント」
- キャリアパスの明確化 「育成就労から特定技能、そして永住へ」という長期的なビジョンを本人に提示できるかが、優秀な人材を引き止める鍵となります。
- 適正な労務管理と記帳の徹底 新制度では、法令遵守(コンプライアンス)がより厳格に審査されます。給与支払いや社会保険の適正な処理は、ビザ更新の「大前提」です。当事務所では、記帳代行を通じてこうしたバックオフィスの健全化もサポートしています。
おわりに
「育成就労制度」への移行は、人手不足に悩む企業にとって大きなチャンスである一方、制度の理解不足は思わぬコンプライアンス違反を招くリスクもあります。
オアシス行政書士事務所では、最新の入管ニュースに基づいた適切なアドバイスを行っています。制度移行に向けた準備や、特定技能への切り替えについて不安がある方は、ぜひお早めにご相談ください。

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